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有名企業のクレドカード導入事例と成功の秘訣

クレドカードは、企業の理念や価値観を従業員に浸透させるための有力なツールです。多くの有名企業がクレドカードを導入し、成功を収めています。本記事では、スターバックス、ディズニーランド(オリエンタルランド)、リッツ・カールトン、ヤマト運輸、ローソンの事例を紹介し、それぞれの成功の秘訣に迫ります。

スターバックスの事例

引用元:https://www.starbucks.co.jp/company/mission.html

導入の背景と目的
スターバックスは、全従業員が「ミッション」と「バリュー」を記載したクレドカードを携帯しています。スターバックスのミッションは、「この一杯から広がる 心かよわせる瞬間
それぞれのコミュニティとともに— 人と人とのつながりが生みだす 無限の可能性を信じ、育みます」です。このミッションは、全ての従業員に浸透させるためにクレドカードに記載されています。

クレドカードの内容
スターバックスのクレドカードには、以下の内容が記載されています。

  1. ミッション:
    「この一杯から広がる 心かよわせる瞬間 それぞれのコミュニティとともに— 人と人とのつながりが生みだす 無限の可能性を信じ、育みます」
  2. バリュー:私たちは、人間らしさを大切にしながら成長し続けますCRAFT 思いをかたちにする

    どんな仕事にも細部まで心を尽くし、
    成長を求めて学び合い、
    情熱と創造力で唯一無二の体験を届けます

    RESULTS 成果に責任をもつ

    誠実さと意欲をもって一心に目標を達成し続け、
    常に一歩先を行くために革新し、
    人々の期待を超えていきます

    COURAGE 勇気をもって向き合う

    互いの成長のために、敬意をもって率直に意見を交わし、
    現状に満足せず、大胆な発想で、
    厳しい状況においても本質を追い求め、行動します

    BELONGING 互いを理解し認め合う

    多様な声に自ら耳を傾け、あたたかさと透明性をもって関心を寄せ、
    それぞれがありのままでいられる居場所であるために、
    威厳と思いやりをもって接します

    JOY 楽しむことを力に

    自らの仕事に誇りをもって楽しみながら、
    互いを称賛し、成功をわかち合い、
    一人ひとりの気持ちを共鳴させ、
    私たちの最高の力を引き出します

成功の秘訣

  1. 徹底した教育と研修:
    スターバックスでは、クレドカードの内容を従業員に理解させるための研修が充実しています。新入社員は入社時にクレドカードの意義や使い方を学びます。
  2. 日常業務への組み込み:
    クレドカードは、日常業務の中で常に参照されるツールとして活用されています。例えば、店舗での顧客対応やチームミーティングでのディスカッションなどで使用されます。

ディズニーランド(オリエンタルランド)の事例

導入の背景と目的
ディズニーランドでは、従業員(キャスト)が「キャスト・クレド」と呼ばれるクレドカードを携帯しています。ディズニーのクレドは、「ゲストに魔法の瞬間を提供する」という理念を基に作られています。

成功の秘訣

  1. 一貫したサービス提供: キャスト・クレドは、ゲスト対応において一貫した高品質のサービスを提供するための基準となっています。全キャストが同じ価値観と行動指針を持つことで、ディズニーランド全体のサービス品質が向上します。
  2. 強力な企業文化: クレドカードを通じて、ディズニーの企業文化が全従業員に浸透しています。キャストはクレドに従い、ゲストに対して魔法の瞬間を提供することに誇りを持っています。

行動規準「The Five Keys~5つの鍵~」

東京ディズニーリゾートのキャストのゴール「We Create Happiness ハピネスの創造」を実現するために、ディズニーテーマパーク共通の「The Five Keys~5つの鍵~」という行動規準に基づき、すべてのキャストが判断、行動しています。

引用元:https://www.olc.co.jp/ja/sustainability/social/safety/scse.html

「The Five Keys~5つの鍵~」(Safety, Courtesy, Inclusion, Show, Efficiency)は、全キャストにとって、ゲストに最高のおもてなしを提供するための判断や行動のよりどころとなっています。これは、ディズニー社のライセンシーである株式会社オリエンタルランドが、東京ディズニーランド、東京ディズニーシーを運営するにあたって最も大切にしている規準です。

【Safety(安全)】
安全な場所、やすらぎを感じる空間を作りだすために、ゲストにとっても、キャストにとっても安全を最優先すること。

【Courtesy(礼儀正しさ)】
“すべてのゲストがVIP”との理念に基づき、言葉づかいや対応が丁寧なことはもちろん、相手の立場にたった、親しみやすく、心をこめたおもてなしをすること。

【Inclusion(インクルージョン)】
さまざまな考え方や多様な人たちを歓迎し、尊重すること。すべての鍵の中心にあり、他の4つの鍵のどれにも深く関わる。

【Show(ショー)】
あらゆるものがテーマショーという観点から考えられ、施設の点検や清掃などを行うほか、キャストも「毎日が初演」の気持ちを忘れず、ショーを演じること。

【Efficiency(効率)】
安全、礼儀正しさ、ショーを心がけ、さらにチームワークを発揮することで、効率を高めること。

ファイブスターカード制度
ディズニーでは、優れたサービスを提供したキャストを認識するための「ファイブスターカード」制度も導入しています。スーパーバイザー以上の役職者が、素晴らしいサービスを提供したキャストに対して、このカードを渡し称賛します。このカードを5枚集めると、「ファイブスターパーティー」に参加できる特典があります。この評価制度は、以下の5つの要素に基づいています:

  • Service: 相手の立場に立った行動
  • Teamwork: 息の合ったチームワーク
  • Attitude: 模範的な態度
  • Recovery: 親切丁寧なご案内
  • Showmanship: 素晴らしいショーマンシップ

このフィードバックによる承認の仕組みは、バリューの浸透と従業員のモチベーション向上に寄与しています。

リッツ・カールトンの事例

引用元:https://okeydon.hatenablog.com/entry/2019/09/20/060000#google_vignette

導入の背景と目的
リッツ・カールトンでは、全従業員が「クレド」と「モットー」を記載したカードを携帯しています。リッツ・カールトンのクレドは、「お客様の個々のニーズにお応えし、最高のサービスを提供すること」です。

クレドカードの内容
リッツ・カールトンのクレドカードには、以下の内容が記載されています:

  1. クレド:
    リッツ・カールトンは、お客様の心からの満足と快適さをお約束します。常に温かくリラックスできる雰囲気を提供し、心地よい体験をお届けします。
  2. 従業員の約束:
    従業員一人ひとりがリッツ・カールトンの価値観に基づき、最高のサービスを提供します。チームワークを重視し、互いにサポートし合いながらお客様に最善を尽くします。
  3. サービスの3ステップ:
    温かい挨拶とお客様の名前を使用すること。お客様のニーズを予測し、先回りして行動すること。心からのお別れの挨拶とお客様の名前を使用すること。

成功の秘訣

  1. 徹底したお客様志向:
    リッツ・カールトンでは、クレドカードを通じて従業員にお客様志向の価値観を徹底しています。従業員は、お客様の期待を超えるサービスを提供するためにクレドカードを日常的に参照しています。
  2. 高い従業員エンゲージメント:
    クレドカードは、従業員のエンゲージメントを高めるツールとしても機能しています。従業員はクレドカードを通じて、自分の役割と企業の目標を再確認し、企業の成功に貢献する意識を持つことができます。

ヤマト運輸の事例

導入の背景と目的
ヤマト運輸では、全従業員が「社訓」を記載したカードを携帯しています。ヤマト運輸の社訓は、1931年(昭和6年)に制定されました。以下の3つの基本精神が含まれています:

社訓の画像引用元:https://yamato-transport-recruit.com/about/creed/

  1. ヤマトは我なり:
    「人」を会社の一番大切な財産と位置付け、社員一人ひとりの創意や工夫、努力の結集が企業価値を生み出すと考えます。この精神は「全員経営」を意味し、社員一人ひとりが「自分はヤマトを代表している」という意識を持つことを求めています。
  2. 運送行為は委託者の意思の延長と知るべし:
    物を運ぶことだけでなく、お客様のこころ(意思)を届けることを重視し、安心で信頼できるサービスを提供することを目指します。品質向上や新たなサービスの開発に取り組むことが大切です。
  3. 思想を堅実に礼節を重んずべし
    ヤマトグループは、一人ひとりの社員が責任感を持って自ら考え行動する「全員経営」を基本としています。これを実践するためには、社会の一員として法律やルールを遵守するとともに、高い倫理観を持って行動することが重要です。礼儀や節度、言葉遣いや振る舞いはその人の人格を表します。社員一人ひとりが人格を高めることで、企業のより良い社風と社格が培われます。社内外を問わず常に言動に気を配り、自己啓発や自己成長に努めることが、会社の成長にもつながります。

成功の秘訣

  1. 現場主義の徹底:
    クレドカードは、現場での実践に重きを置いています。従業員は日々の業務でクレドカードを参照し、迅速かつ確実なサービス提供を心がけています。
  2. フィードバックの活用:
    クレドカードの内容は、従業員からのフィードバックを元に定期的に見直されます。これにより、常に現場のニーズに合った内容が反映されています。

ローソンの事例

グループ理念 私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします。 ビジョン 目指すは、マチの“ほっと”ステーション。 ローソンWAY 1.マチ一番の笑顔あふれるお店をつくろう。 2.アイデアを声に出して、行動しよう。 3.チャレンジを、楽しもう。 4.仲間を想い、ひとつになろう。 5.誠実でいよう。

引用元:https://www.lawson.co.jp/company/corporate/data/idea/

導入の背景と目的
ローソンでは、グループ理念および行動指針「ローソンWAY」が明確に体系化され、その実現を担うコアな人材の育成に力を入れています。ローソンの理念は「みんなと暮らすマチを幸せにします」というもので、これに基づきビジョンを設定しています。

クレドカードの内容
ローソンのクレドカード「ローソンWAY」には、以下の行動指針が記載されています:

  1. マチ一番の笑顔あふれるお店をつくろう: お客様に笑顔を届け、地域社会に愛される店舗を目指します。
  2. アイデアを声に出して、行動しよう: 創意工夫を大切にし、新しいアイデアを積極的に取り入れます。
  3. チャレンジを、楽しもう: 挑戦を楽しみ、常に成長を続けます。
  4. 仲間を想い、ひとつになろう: チームワークを大切にし、互いに助け合いながら働きます。
  5. 誠実でいよう: 誠実な態度で仕事に取り組み、信頼を築きます。

成功の秘訣

  1. 地域密着のサービス提供:
    クレドカードは、地域社会に密着したサービスを提供するための基準として活用されています。従業員はクレドカードを通じて、地域のお客様に対して一貫したサービスを提供しています。
  2. 持続可能な取り組み:
    クレドカードには、持続可能な経営のための行動指針も記載されています。従業員はこれを日々の業務に反映し、環境保護や地域貢献に努めています。

まとめ

クレドカードは、企業の理念や価値観を従業員に浸透させ、企業文化を強化するための強力なツールです。有名企業の成功事例から学ぶことで、クレドカードの効果的な導入方法を理解し、自社に適用することができます。クレドカードの導入を検討している企業は、この記事を参考にして成功の秘訣を活用してください。

弊社では、ミッション、ビジョン、バリュー(MVV)を中心にクレドの策定支援を行っております。クレドカードの導入を通じて、企業文化の醸成や従業員の行動指針の統一を目指す企業様は、ぜひご相談ください。

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