商品の宣伝や新規顧客獲得のため、SNSを積極的に利用する企業が増えています。複数のSNSを併用する消費者も珍しくないため、さまざまなSNSで自社アカウントを運用されているご担当者様も多いのではないでしょうか。
株式会社APOLLO11が10代以下~60代以上の男女200名を対象に実施した調査では、日本で利用者の多いSNSは1位のLINEに続き、TwitterやInstagram、Facebookなどがランクインしました。
どのSNSを使う場合でも、ユーザーの特徴や好まれる投稿の傾向を把握して利用しなければ、ソーシャルメディア本来のマーケティング効果を発揮できません。
本コラムでは、上記の調査でも利用者が多かったSNSを中心に、それぞれの解析において確認すべき指標を紹介します。各SNS解析において重要なデータの把握やアカウントの改善にお役立てください。
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Statistaの「Most popular social networks worldwide as of January 2022」という調査によると、TikTokやYouTubeの人気が高まっている昨今においても、もっともアクティブユーザーの多いSNSはFacebookが出ているようです。法人向けにさまざまな広告オプションをラインナップしていることもあり、FacebookはデジタルマーケティングのSNS広告においてよく選ばれています。
Facebookの解析に重要な指標は以下です。
- エンゲージメント数
- リーチ数
- インプレッション数(表示回数)
- ページへの「いいね」とフォロワーの数
1. エンゲージメント数
エンゲージメント数とは、自社の投稿に対してユーザーが何らかのアクションをしてくれた数のことです。クリックやリツイートなどのシェア、コメント、保存などが含まれます。
エンゲージメントを得やすい投稿を把握することで、宣伝効果が高い投稿の傾向を読み取れます。エンゲージが向上すれば「ニュースフィード」に優先的に表示されることも多くなるので、各投稿のエンゲージメント数は必ず確認しましょう。
2. リーチ数
リーチ数とは、投稿を見たユーザー数のことです。
フォロワー数が多いからといって投稿を見てくれるフォロワーが多いとは限りません。フォロワー数ではなくリーチ数を確認することで、Facebook上に投稿したコンテンツや広告を実際に目にした人数を把握可能です。
3. インプレッション数
投稿を見た人数を指すリーチ数とは異なり、インプレッション数は投稿が「閲覧された回数」をあらわします。たとえば、1人のユーザーが同じ投稿を3回見た場合、リーチは「1」、インプレッションは「3」となります。
インプレッション数をリーチ数で割れば、ユーザー1人に広告が表示された平均回数を算出できます。ブランド認知度や広告想起率の測定に利用してみてください。
4. アカウントページへの「いいね」とフォロワーの数
自社のファンの数を把握するには、アカウントページへの「いいね」とフォロワーの数を見てみましょう。
アカウントページを「いいね」してくれたユーザーは、自社のファンであると自認しているユーザーです。また、フォローしてくれたユーザーは、ファンであると同時に自社の投稿をこまめに見たいと思っているユーザーです。ページへの「いいね」とフォロワーの増減を確認することで、自社のファンの増減を追跡できます。
イーロン・マスク氏が買収してからさまざまな変化が起きているTwitterですが、PRやマーケティングに有用なプラットフォームであることは変わっていません。Twitterではリアルタイムですばやく情報が拡散されるため、ブランド認知度の向上やエンゲージメントの促進がしやすいSNSです。
Twitterアナリティクスでは、以下の6つの指標をチェックしましょう。
- インプレッション数
- エンゲージメント
- トップツイート
- 新しいフォロワー数
- トップフォロワー
- トップメンション
1. インプレッション数
「インプレッション数」では、自社のツイートがフォロワーのタイムライン上や検索結果上に表示された回数を調べられます。インプレッションが多いほど、フォロワー以外のユーザーにツイートを見てもらえる可能性も高まります。
2. エンゲージメント
Twitterにおけるエンゲージメントには、リンクのクリックやリツイート、返信や「いいね」など、ツイートに対してユーザーが行ったさまざまなアクションが含まれます。エンゲージメント数は、自社のツイートを通してユーザーが他のユーザーとコミュニケーションを取っている、または取りたがっている数であるとも理解できます。
3. トップツイート
「トップツイート」とは、その月にもっともインプレッションの多かったツイートを指します。ツイート内容や使用したハッシュタグ、ツイートしたタイミングなど、インプレッションが増加する要因はさまざまですが、トップツイートはユーザーにどのようなツイートが響くのかを知る手がかりとなります。
4. 新しいフォロワー数
「新しいフォロワー」では、過去1ヶ月間に自社アカウントをフォローしたユーザーの数をあらわしています。ユーザーが自社アカウントをフォローすることは、単にリツイートや「いいね」をするよりも強いつながりを求めていることを意味します。新しいフォロワーの数は、顧客層拡大においてブランドがどのような成果を遂げているかを示すKPIとして利用可能です。
5. トップフォロワー
「トップフォロワー」とは、その月にフォロワーになったユーザーのうち、もっともフォロワー数の多いユーザーのことです。数千、数万のフォロワーを持つようなトップフォロワーが「いいね」やリツイートをすれば、自社のツイートが大量のユーザーに拡散される可能性があります。
言い換えれば、トップフォロワーとTwitter内でコミュニケーションをとることで、拡散するチャンスを広げるような手法も有効です。
6. トップメンション
「トップメンション」とは、自社のアカウントへ「@」をつけたツイートの中で、もっともインプレッション数のあったツイートのことです。トップメンションのツイートをしたユーザーはフォロワー数が多く自社への関心も高いユーザーである場合が多いため、インフルエンサーマーケティングを実施する際の起用候補として検討しましょう。
Business of AppsがInstagramの収益と使用状況を調査した結果では、Instagramは20億人以上が月に1回利用しているSNSです。Instagramは画像だけでなく、ストーリーなど動画も共有するSNSへと変化しつつあり、特に35歳以上の人々に対するエンゲージメントの促進やブランド認知度の向上に高い効果を期待できます。
Instagramインサイトでアカウントを解析する際は、特に以下の指標に着目しましょう。
- インプレッション数
- リーチ数
- コンテンツでのインタラクション
- 発見
- リーチしたアカウント数とアクションを実行したアカウント
1. インプレッション数
Instagramインサイトの「インプレッション数」では、インプレッションのきっかけがハッシュタグなのか、プロフィール欄からたどり着いたものなのかなどまで確認できます。適切なハッシュタグを使用すれば、インプレッション数の増加が期待できます。
2. リーチ数
「リーチ数」は投稿を見たユーザーの数をあらわしており、広告を実際に見た人数の把握に利用できます。
3. コンテンツでのインタラクション
「コンテンツでのインタラクション」では、「いいね」やコメント、共有、保存など、ユーザーがその投稿に対して取ったアクションの合計を表示しています。
4.発見
Instagramの「発見」とは、フォローしていないアカウントの投稿の中から、自分に関連性のある投稿を表示できる機能のことです。Instagramインサイトでは、「発見」機能から自社の投稿を見たことがあり、かつ自社のフォロワーではないユーザーの数を確認できます。
5. リーチしたアカウント数とアクションを実行したアカウント
「リーチしたアカウント数」とは、自社の投稿を見たユーザーの数のことです。また、「アクションを実行したアカウント」とは、自社の投稿に対して「いいね」やコメントなどのアクションを起こしたユーザーの数のことです。「リーチしたアカウント数」と「アクションを実行したアカウント」の2つを確認することで、投稿へのエンゲージメントを分析できます。
Pinterestはビジュアルコンテンツマーケティングに適しているSNSです。ユーザーの大多数が女性であるため、女性をターゲットにしているブランドや、ファッションや美容、インテリアなどのブランドにおすすめです。
Pinterestアナリティクスでは、以下の指標を確認しましょう。
- ピン
- 保存数
- インプレッション数とエンゲージメント数
- コンバージョン率が高いピン
1. ピン
ピンとは、WebサイトやSNS上の気に入った投稿を集めて保存できる機能のことです。動画や画像、商品などをピンとして保存できます。Pinterestアナリティクスでは、コンテンツが自社サイトや自社アカウントのSNSから毎日どのくらいピンされているかを把握できます。
2. 保存数
「保存数」とは、自社のピンがユーザーのボード(お気に入りフォルダのようなもの)に保存された回数のことです。1日の平均保存数を調査すれば、自社コンテンツのパフォーマンスを測定できます。
3. インプレッション数とエンゲージメント数
他のSNS同様、Pinterestにおいてもインプレッション数とエンゲージメント数はコンテンツのパフォーマンスの測定に重要です。「インプレッション数」はコンテンツの反響の良さ、「エンゲージメント数」はクリック数や保存数などの把握に利用できます。
4. コンバージョン率が高いピン
「コンバージョン率が高いピン」では、コンテンツの中でも特にパフォーマンスの高いものを確認できます。ユーザーの課題を解決するようなコンテンツなのか、インフルエンサーを起用したコンテンツなのかなど、コンバージョン率が高いピンの傾向を分析してみましょう。
TikTok
本コラムで紹介するSNSのうちもっとも新しいSNSであるTikTokは、すでに10億人以上のユーザーがいる巨大なプラットフォームです。TikTokは爆発的に拡散されやすいプラットフォームでもあり、ブランド認知度向上のための利用に非常に適しています。
TikTokインサイトでは、以下の4つのカテゴリーに指標を分けています。
- 概要
- コンテンツ
- フォロワー数
- LIVE
1. 概要
「概要」ではフォロワー数やプロフィールの表示回数、エンゲージメント数などアカウント全体の指標をひと目で確認でき、自社アカウントにとって重要な指標はどれかを判断するのに役立ちます。
2. コンテンツ
「コンテンツ」では投稿した動画のパフォーマンスに絞ってデータを表示しています。合計再生時間やリーチしたユーザーの数、動画を最後まで視聴した人数などを確認でき、高いエンゲージメント率を得られる動画の傾向を把握できます。
3. フォロワー数
「フォロワー数」ではフォロワーに関する詳細なデータをチェックできます。フォロワーの男女比や増減、国籍を調べることができ、フォロワーが好む動画や音源も確認できます。
4. LIVE
ライブ配信機能である「TikTok LIVE」は、TikTokが人気を集めている理由のひとつです。「LIVE」のカテゴリーでは、配信を視聴した実人数や合計視聴回数などを確認できます。
2023年で誕生から20年を迎えるLinkedInは、世界で9億人が利用しているSNSです。主にキャリアアップや人脈の拡大を目指すユーザーに利用されており、BtoBマーケティングにも活用されています。
LinkedInアナリティクスでは、以下の指標に着目しましょう。
- 訪問者
- フォロワー
- インプレッションとエンゲージメント率
- 競合他社
1. 訪問者
「訪問者」では誰が自社のページを訪れたのかを確認でき、反響の良いコンテンツの分析に役立ちます。訪問者のプロフィールを企業規模や業界で絞って調べることも可能です。
2. フォロワー
「フォロワー」では、自社ページをフォローしているユーザーの所在地や職種などを確認できます。どのような人がフォローしているのかを具体的に把握することで、より良いコンテンツの制作が容易になります。
3. インプレッションとエンゲージメント率
「インプレッション」では自社の投稿が見られた回数を示しており、「エンゲージメント率」ではインプレッション数に対してユーザーがクリックやコメント、「いいね」などのアクションをした回数の割合をあらわしています。エンゲージメント率を確認することで、自社アカウントが全体的にどのようなパフォーマンスをしているかを分析できます。
4. 競合他社
「競合他社」では同じ業界に属する他社にどのようなフォロワーがいるのかを確認でき、競合他社のコンテンツ分析に有益な情報を得られます。
まとめ
代表的な6つのSNSにおいて、メディア戦略の成功に必要な指標をそれぞれ紹介しました。各指標を確認し、SNSマーケティング施策の立案や改善の参考になさってください。
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この記事は、Digital Marketing Instituteに掲載された「The Best Social Media Metrics To Focus On In Your Campaigns」を翻訳した内容です。
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