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競合サイトの分析には便利なツールを利用しましょう
2022年も残りわずか。
今年の漢字は「戦」という字で、新型コロナウイルス感染症との戦いや、誠に残念な戦争、食料品や生活用品、電気ガスなどのエネルギー費の高騰などによる経済面でのやりくりなど、真剣に対峙するようなシチュエーションが多い一年だったかと振り返ります。
時世の変化が激しい今日この頃ですが、企業が生き抜くためには、競合他社との戦いに勝ち、差別化が欠かせません。
スターバックスは日本に進出する際、ターゲットを女性に設定し、全店禁煙にしてリラックスできる空間づくりに努めました。これは、当時の喫茶店の大多数がサラリーマンの男性をターゲットにしていたことに着目したいわば逆張りの戦略です。
競合がひしめくレッドオーシャンに飛び込むのではなく、既存ニーズで満たされていないシーズ(潜在的なニーズ)を見据えてブルーオーシャンを開拓した結果、現在スターバックスは1,771店舗(2022/12/23現在)まで規模を広げ、コーヒーチェーン店の中で大きな成功を収めています。
デジタルマーケティングにおいても、競合分析をすることで自社の強み・弱みを理解でき、正しいポジショニングをふまえた的確なターゲット選定によって顧客によりフィットするサービスの提供や効果的な販促活動に活かせます。
今回の記事では、リスティング広告やSEO対策など、デジタルマーケティングにおいて競合他社を分析する方法と、分析に便利なツールを紹介します。自社の強みの発見と事業への活用に役立ててください。
デジタルマーケティングにおける競合分析とは
デジタルマーケティングにおける競合分析では、競合他社のマーケティング施策や価格設定、製品開発、および流通戦略を調べ、長所と短所を分析します。
こうすることで業界のトレンドを常に把握でき、またブランドの認知度や顧客のエンゲージメント、そして収益を向上させるために取るべき戦略の輪郭をつかめます。
デジタルマーケティングにおける競合分析の必要性
デジタルマーケティングにおける競合分析には、以下のメリットがあります。
- 市場における参入障壁とチャンスを特定する
- 競合他社との違いから自社の価値提案を明確にする
- 競合他社の足りない点や弱い分野を自社の強みにする
- 市場でもっとも効果的なデジタルマーケティング戦略を分析する
- 新たな顧客と領域を特定する
- 新たな商品やサービスのヒントを得る
- 市場動向をつかみ、既存のニーズから次のニーズの検討に役立てる
- パフォーマンスを測定するためのベンチマークを確立する
競合分析の範囲は、企業が何を課題としているかによって異なります。分析する対象は、幅を広げることも、焦点を絞ることも可能です。
たとえば、Webサイトの最適化を図っている場合は、競合他社のWebサイトにおけるコンテンツやユーザー体験、リードジェネレーション戦略(潜在顧客獲得に向けた取り組み)を調べます。得られた知見は、コンバージョン率最適化のための戦略立案に利用できます。
デジタルマーケティングにおける競合分析のやり方
デジタルマーケティングにおける競合分析では、各競合他社のさまざまなプラットフォームを分析し、それらがどのように企業の成長に貢献しているかを探っていきます。
ここからは、競合他社を分析する際のポイントについて具体的に紹介します。
分析優先順位をつける
競合分析では、すべての競合他社を分析する必要はありません。競合他社の特徴に応じて、以下のように分析優先順位を整理しましょう。
分析優先順位 | 競合他社の特徴 |
高 | 同様の製品やサービスを同じターゲット層に販売している |
中 | 同様の製品やサービスを異なるターゲット層に販売している |
低 | 関連する業界に属しているが、同じような製品やサービスは販売していない・またはターゲット層が異なる |
このように競合他社をセグメント化すると、ライバル会社が自社とどのように関わっているのかもわかりやすくなります。
ターゲット層を調べる
競合他社のターゲット層を特定すれば、どのようなマーケティング戦略をとっているのかも明らかにできます。
ターゲット層を調べるには、以下に着目しましょう。
- ホームページの「ミッション」や「私たちについて」
- SNSで発信しているメッセージとフォロワーとのやり取り
- ブログや無料で提供している資料
- ウェビナーやポッドキャスト
- カスタマーレビューやユーザー生成コンテンツ
マーケティングの「4P」を活用する
競合他社のマーケティング戦略を理解するには、マーケティングの「4P」に着目しましょう。
- 商品(Product):何を売っているのか?顧客は何を気に入っているのか?製品やサービスの成功の要因は何か?自社よりも優れている機能や製品は何か?
- 価格(Price):どの価格モデルを採用しているか? 1回限りの支払いか、サブスクリプションか?価格の魅力は何か?
- 販促(Promotion):ブランドや製品をどのように宣伝しているか?もっとも積極的に取り組んでいるデジタルチャネルは何か?どのような広告戦略を使用しているか?
- 流通(Place):どこで売っているのか?オンラインで販売しているか、実店舗を持っているか?
これら4つの要素から得られる情報は多数あります。4つの中から特に重要な要素を選定し、定性データと定量データの両方を集めましょう。
ベストプラクティスを見つける
トップクラスの競合他社が成功しているのは、時間をかけてデジタルプラットフォーム上でさまざまな戦略をテストし、微調整してきたからです。他社によって開発されたベストプラクティスは、積極的に自社のマーケティングにも活かしましょう。
たとえば、ある競合他社がTikTokでのWEBマーケティングに成功しており、他の競合他社も過半数がTikTokを販促に利用しているなら、自社でも使用を検討すべきでしょう。
また、Googleで競合他社が上位表示されている場合は、SEO対策においてキーワード選定やサイトのコンテンツ企画構成がうまい証拠です。
成功している企業の取り組みから、ベストプラクティスを探してみましょう。
フレームワークを利用する
競合他社を分析するために使うべきフレームワークは、何を知りたいのかによって異なります。
たとえば、市場の新しいチャンスや脅威を発見したい場合は、SWOT分析が適しています。SWOT分析は、自社の長所と短所の特定にも役立ちます。
また、経営学者のマイケル・E・ポーター氏が1979年に発表したファイブフォース分析では、以下の5つの要因に着目して業界の構造を分析できます。
- 新規参入業者の脅威
- 代替品の脅威
- 供給企業の交渉力
- 買い手の交渉力
- 競争企業間の敵対関係
リスティング広告を分析する
リスティング広告における競合他社の分析には、競合他社が入札しているキーワードやフレーズを見つけることが含まれます。分析の最終的な目標は、競合他社よりも優れたインターネット広告を制作することです。
競合他社が使用しているインターネット広告の種類と、配信しているネットワークやプラットフォームを調べてみましょう。また、LPのテキストや導線設計、CTAも分析してみてください。
SEO対策を分析する
競合他社のSEO対策を分析することで、自社がどのキーワードを狙えばいいのかを明らかにできます。
他社のSEO対策を分析するには、以下の方法があります。
- Webサイトのパフォーマンスを比較する(ページの表示速度など)
- 競合サイトが検索結果に上位表示され、自社のサイトが上位表示されがないキーワードの調査
- 被リンク(バックリンク)の取得方法の比較
- 上位表示への貢献が考えられるキーワードの数や配置の仕方
- 上位表示されているページのテキストや見出し構成、関連リンクなどの分析
SNSを分析する
業界や会社の規模にかかわらず、SNSは顧客のエンゲージメントの促進と潜在顧客の獲得に重要なツールです。
競合他社のSNSを分析するには、投稿頻度や投稿時間、投稿するコンテンツの種類(動画やブログなど)を確認しましょう。コメント欄でのユーザーとのやり取りまで見れば、エンゲージメント率やどのような内容が好感度が高いのかも調べられます。
競合他社分析に役立つツール
競合他社の分析に活用できるツールをいくつか紹介します。
SEO分析
リスティング広告分析
キーワード分析
SNS分析
まとめ
デジタルマーケティングにも競合分析は必要です。今回紹介したやり方やツールを利用して、自社の強みや他社の弱みに基づいたマーケティング戦略を検討してみてください。
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この記事は、Digital Marketing Instituteに掲載された「How to Do a Competitive Analysis in Digital Marketing」を翻訳した内容です。
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