アディッシュ株式会社が企業におけるSNS利用の実態を把握するために実施した調査では、企業の利用率が高いSNSはTwitterとInstagram(ともに52.0%)、次にFacebook(46.1%)でした。InstagramとFacebookはどちらもMeta Platform社により運営されており、アカウントの連携もできるため、InstagramとFacebookのどちらも併用して運用されている企業様も多いのではないでしょうか?
2つのSNSはともにFacebook, Inc(現:メタ・プラットフォームズ)が運営していますが、InstagramとFacebookには異なる点が多数あります。
今回は、InstagramとFacebookの違い、そして今後デジタルマーケティングにおいてどちらがより重要になるのか?という見通しについて述べていきます。自社のSNS運用のご参考になさってください。
コンテンツ
InstagramとFacebookの主な違い
InstagramとFacebookの違いのひとつは、プラットフォームでサポートされているコンテンツ形式です。 Instagramでは、ユーザーは写真と動画、ストーリー、リールを簡潔なキャプションとともに投稿することしかできません。
一方で、Facebookではより幅広いコンテンツ形式をサポートしています。Facebookでは写真と動画以外にも、リンクや記事、ストーリー、クイズなど、さまざまなタイプのコンテンツを投稿できます。また、Instagramとの大きな違いは、キャプションのリンクをクリックできる点です(他のサイトやメディアへ誘導できる点がFacebookは優れています)。
また、InstagramもFacebookもスマートフォン用アプリとウェブの両方に対応しており、Facebookはアプリ版とウェブ版のどちらもよく使われています。他方で、Instagramではより使いやすいアプリ版がユーザーに好まれている傾向があります。
さらに、FacebookはInstagramよりも多くのユーザーに利用されている点も注目すべき点です。Facebookの月間アクティブユーザー数はおよそ29億6000万人(Statista調べ)ですが、Instagramの月間アクティブユーザー数は20億人(CNBC調べ)にすぎません。
以下では、マーケティングに重要な以下の4つの点において、InstagramとFacebookを比較していきます。
- ユーザー層
- エンゲージメント
- 広告費
- アルゴリズム
ユーザー層
Instagramの傾向としては、とくに30歳以下の若い世代のユーザーが多いです。Statistaの調査では、2022年4月時点で、30.2%のInstagramユーザーが18歳から24歳の若者でした。また、全世界のユーザーの70.8%が34歳以下です。
Instagramはビジュアル性が高いため、クリエイティブなアイデアやスタイルのインスピレーションを求めているユーザーの間で人気があります。また、インフルエンサーを目指しており、自分の個性や興味関心をブランドのプロモーションに役立てたいと考えているユーザーにも魅力的なプラットフォームです。
ブランドのターゲットがビジュアルを重視する若者である場合は、Instagramで人気のインフルエンサーと連携して商品の宣伝をするとよいでしょう。
コスメブランドのCurologyはInstagramを上手に利用しているブランドの例で、鮮やかな色の画像とキャッチーなキャプションを使用することで若いミレニアル世代のオーディエンスを魅了しています。
一方で、FacebookはInstagramよりも幅広い年齢層のユーザーに利用されています。プラットフォーム自体は若者と年配者のどちらもターゲットとしていますが、40~50代の間でより人気があります。
Statistaによる調査によれば、Facebookユーザーの31%は25歳から34歳です。しかし、約60%のユーザーが25歳から54歳でもあります。
幅広いタイプのユーザーに利用されていることから、Facebookはさまざまな場所の多様なオーディエンスセグメントをターゲットとしているブランドの広報に向いているプラットフォームです。
幅広い魅力を持つブランドの代表格であるMcDonald’sでは、Facebookを使って顧客とつながり商品を宣伝しています。
エンゲージメント
ユーザー数が多いため、InstagramとFacebookはどちらも高いエンゲージメント率を有しています。異なる点は、ユーザーがプラットフォームを利用する意図です。
一般的に、Instagramにおけるユーザーの利用意図はコンテンツの閲覧や発見、インスピレーションの獲得が中心です。Instagramは、新しいトレンドを知るため、またブランドやスポット、イベントを発見するために使われることが多い傾向があり、ユーザーは視覚的なインスピレーションや新しいアイデアを求めています。
一方で、Facebookは個人的なつながりに重きを置いており、ユーザーは友人や家族とコンテンツをシェアするためにプラットフォームを利用しています。ほとんどのユーザーが知り合いとのコミュニケーションのためにFacebookを利用しているので、ブランドの認知度を高めるにはあまり適した場ではないかもしれません。
広告費
InstagramとFacebookの違いには、それぞれのプラットフォームでのSNSマーケティングにかかる広告費もあります。
Facebookには、関連するコンテンツをユーザーに配信する優れた広告プラットフォームがあり、Instagram広告の運用にも使用できます。ユーザーはFacebookが表示する広告の関連性の高さを信頼しているので、ブランドは、この信頼を利用して広告キャンペーンを展開できます。
広告キャンペーンをInstagramとFacebookのどちらで展開するかを決める際は、キャンペーンにかかる費用と、キャンペーンが収益に与える影響を考える必要があります。
Facebookは、通常クリック単価(CPC)に基づいて高いコストパフォーマンスを発揮します。
SocialinsiderによるInstagram広告とFacebook広告の研究では、Facebook広告の平均クリック単価は0.49ドル、Instagram広告では1.09ドルでした。また、Facebook広告はInstagram広告よりもクリック率が高く、Facebook広告の平均クリック率(CTR)は3.06%ですが、Instagramでは0.68% です。広告の費用対効果においては、業界業種にもよりますがFacebookのほうがInstagramよりも優れているといえます。
アルゴリズム
SNSのアルゴリズムとは、どの投稿がどの順序でユーザーに表示されるかを決定するものです。過去には投稿された順に表示される時系列順が主流でした。時系列順の場合、フォローしているアカウントが多いとフィード画面が混沌としてしまい、お気に入りのアカウントの投稿が埋もれてしまうことがあります。
こうした問題を解決するため、各SNSプラットフォームはユーザーの好みに合わせて投稿の表示を調整するアルゴリズムを開発しました。
アルゴリズムは仕組みを理解すればSNSマーケティング戦略を立てられるため、マーケティング担当者にとっても有益です。
以下は、InstagramとFacebookそれぞれのアルゴリズムが評価する投稿の特徴です。
Instagramのアルゴリズムがフィードの上位に表示する投稿の特徴
- 関連性:ユーザーにとって価値のある投稿
- 適時性:新しく公開された投稿
- エンゲージメント:いいねとコメントの多い投稿
- 投稿の閲覧時間:閲覧時間が長い投稿
- 関係性:ユーザーがよくやり取りするアカウントの投稿
- プロフィール検索:検索数が多いアカウントの投稿
- シェア:ユーザーがシェアすることが多いアカウントの投稿
Facebookのアルゴリズムがフィードの上位に表示する投稿の特徴
- 友人と家族:Facebook上の友達の投稿
- エンゲージメント:いいねやコメント、シェアが多い投稿
- ビジュアルコンテンツ:画像や動画を含む投稿
なお、Facebookの場合、広告要素の強い投稿やコメントやいいねを得るための扇情的な投稿は下位に表示される傾向があります。
InstagramのほうがFacebookよりも将来性がある理由9つ
ここまでInstagramとFacebookの違いを紹介してきましたが、未来が明るいのはInstagramです。以下では、Instagramのほうが将来性がある理由を9つ紹介します。
1. Instagramのほうがスマホで使いやすい
Instagramの長年スマホ専用プラットフォームとして展開していた点、コンテンツ形式の種類が少ない点を考えると、InstagramがFacebookよりもスマホで使いやすいことは当然でしょう。Facebookのほうが歴史は長いですが、Instagramは最初からスマートフォン向けに作られてきました。
DATAREPORTALの「DIGITAL 2021: GLOBAL OVERVIEW REPORT」によれば、98.8%のコンテンツがスマホから閲覧されています。この点をふまえても、Instagramのほうが現代に適しており、今後も利用され続けるであろうことは明らかです。
2. Instagramのストーリー機能のほうが統一性が高い
Instagramは「ストーリー」機能を組み込んだ最初のプラットフォームです。Instagramのストーリーは日常的に500万人のユーザーに使われており、非常に人気の機能です。
Facebookにも独自のストーリー機能が追加されていますが、現時点では、Facebookのニュースフィードとストーリーの結びつきは薄く、統一性はありません。
3. Instagramの人気が高まっている
The Infinite Dial study from Edisonの調査によれば、12歳から32歳のアメリカ人のFacebookの利用機会は、InstagramとTikTokの人気の高まりにともない2020年の1年間で急激に減少しました。
Snapchatの人気も大きく下落していることをふまえると、Instagramは今後も若い世代のユーザーを獲得し続けるでしょう。
4. Instagramのソーシャルコマースのほうが機能的
Facebookのソーシャルコマースはわずかな成功しか収めていません。
一方で、Instagramのソーシャルコマースはプラットフォーム上に非常に自然な形で組み込まれており、ウェブサイトに移動せず、写真から直接購入できます。ターゲティングアルゴリズムも高精度です。
5. Instagramのほうが企業にとって戦略を立てやすい
Facebookのニュースフィードアルゴリズムは絶えず変更されており、企業の投稿がオーガニックリーチを獲得するのは非常に困難です。一方、Instagramも変更は加えているものの、Facebookほど頻繁ではありません。
見ていて純粋に楽しいコンテンツを投稿しているブランドをInstagram上で偶然見かけることはよくあります。しかし、こうしたブランドでも、FacebookでInstagramと同じように投稿を表示させるのは難しいでしょう。
6. Instagramのほうが「発見」してもらいやすい
Instagramは当初からハッシュタグに重点を置いており、1つの投稿で5~20個のハッシュタグが使われるため、好みのコンテンツを探すのが簡単です。Instagramは投稿したコンテンツを「ユーザーに発見してもらう」ことに向いているのです。
7. Instagramのほうが肯定的
Instagramにももちろん「荒らし」や攻撃的な人はいます。しかし、ささいな投稿でも政治的な争いに発展しやすいFacebookと比べると、Instagramのほうがポジティブなプラットフォームといえるでしょう。
ポジティブな雰囲気だけではInstagramがFacebookよりも優れているとはいえませんが、少なくとも、SNSが楽しい場所であるべきことは確かです。
8. Instagram Has Messaging Built-In
Facebook Messengerは広く使われているメッセージ機能で、ユーザーとのコミュニケーションに利用している企業もあります。しかし、Instagramにもチャット・メッセージ機能があり、機能性の高さもFacebook Messengerに追いつき始めています。
Facebook MessengerはFacebookとは別のアプリですが、Instagramでは1つのアプリでコンテンツの閲覧とメッセージの両方ができます。ダウンロードするなら、1つに機能がまとまっているほうのアプリを選ぶ人が多いのではないでしょうか。
9. Instagramは外部のデベロッパーを積極的に受け入れている
Facebookがデベロッパーのエコシステムとデータの使用についてより慎重になる一方で、Instagramではより多くのデベロッパーの関与を受け入れています。
InstagramではサードパーティーによるARカメラエフェクトやステッカーを利用できます。また、Spotifyなど他のアプリから直接ストーリーに投稿することも可能です。
Instagramはデベロッパーを柔軟に受け入れている分、今後もさまざまな機能が加わりより便利になっていくでしょう。
まとめ
InstagramとFacebookでは、Instagramのほうが今後より発展していき、デジタルマーケティングでの重要性も増していくと予想されます。SNSマーケティングに注力する場合は、Instagramを採用してみてください。
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この記事は、Convince & Convertに掲載された「Instagram vs. Facebook: Which One Has a Brighter Future and Why?」を翻訳した内容です。
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