アディッシュ株式会社による「【2022年版】SNS利用の実態調査」によれば、企業がもっとも多く利用しているSNSはTwitterとInstagram(ともに52.0%)です。TikTokの利用率は10%程度に留まり、積極的に利用している企業はまだ少ないようです。
一方で、株式会社ICT総研による「2022年度SNS利用動向に関する調査」によれば、2021年に比べて2022年の利用時間が増えたとユーザーが回答したSNSは、1位がTikTok(43.6%)、2位がYouTube (42.6%)、3位がInstagram(42.6%)でした。
TikTokの影響力がこの1年で高まりを見せており、2023年からはSNSマーケティングの一環としてTikTokの運用を検討している企業担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか?
しかし、SNSマーケティングでは各SNSの特徴に合わせて戦略を立てる必要があり、他のソーシャルメディアで実施している戦略をそのままTikTokに適用しても、あまり良い効果を期待できないでしょう。
本コラムでは、マーケティング戦略を検討する際に知っておくべきTikTokとInstagramの違いを紹介します。ユーザー層やコンテンツのフォーマットなどの違いを説明するので、TikTokとInstagramの使い分けを理解する際のご参考になさってください。
コンテンツ
ユーザー層
ユーザー層について、TikTokとInstagramでは似ている部分が多数あります。下記はその例です。
ユーザー層の類似点
- 購入の用意ができているユーザーへの売り込みがしやすい
- 主に35歳以下の若者が使用している
- 世界的に存在感が大きい
一方で、相違点も顕著です。TikTokとInstagramそれぞれのユーザー層を詳しく見ていきましょう。
TikTok
TikTokのユーザー層はほぼ35歳以下で形成されています。最大のユーザーはZ世代(1996~2015年生まれ)で、次にミレニアル世代(1981~1995年生まれ)、X世代(1965~1980年生まれ)が続きます。
DataReportalが2022年1月に実施した調査では、ユーザーのうち57%が女性、43%が男性でした。また、ユーザー数が多い国は、多い順にアメリカ(1億3,500万人)、インドネシア(9,907万人)、ブラジル(7,358万人)です。
TikTokのユーザーは商業的なコンテンツに反応しやすい傾向があり、以下のような若者向けの商品を購入する傾向があります。
TikTokユーザーが購入しやすい商品
- ゲーム機
- 安価なジュエリーやインテリアグッズ目新しいトレンド商品
- 格安の化粧品と香水
- 割引率が高い通販商品
TikTokのユーザーはブランデッドコンテンツやインフルエンサーを起用したプロモーションによく反応します。一方、明らかな広告にはあまり反応しません。したがって、TikTokではなるべく自然な形で宣伝する必要があり、TikTok上の他の動画(オーガニックコンテンツ)に溶け込ませることが大切です。
Instagramは、ミレニアル世代とZ世代に非常に人気です。
男女比に関しては、Instagramでは48.4%が女性、51.6%が男性と、TikTokよりも1対1に近いユーザーを有しています。また、ユーザー数はインドでもっとも多く(2億3,025万人)、次にアメリカ(1億5,975万人)、ブラジル(1億1,945万人)と続きます。
Instagramのユーザーも商業的なコンテンツに反応はしますが、TikTokほどではありません。また、ミレニアル世代より少し年上の男女両方に向けられた商品により興味を示し、 Instagram広告とインフルエンサーを起用したプロモーションに反応しやすい傾向があります。
Instagramユーザーが購入しやすい商品
- 高価なジュエリー
- 専門家および事業主向けの情報商材
- 家具とアパレル用品
- 中間層向けのアート、インテリア、通販商品
- 高級な通販商品(例:健康製品や化粧品)
コンテンツのフォーマット
Instagramでは、フィードやストーリー、リールなど、多用な形でコンテンツを制作できます。フィード画面に他のSNSと特に異なる点はなく、無意識に永遠とスクロールできてしまいます。ユーザーの注意を惹くには、リールやストーリーとして投稿するのがベストです。
一方、TikTokで投稿できるのは最長10分の縦型動画のみです。スクロールではなくスワイプして次の動画を視聴するため、ユーザーはより集中して最後まで見る傾向があります。また、コンテンツのフォーマットが1種類しかないために、企業にとってコンテンツの作成と費用対効果の分析がより簡単です。
コンテンツのタイプ
Instagramのコンテンツはビジュアルの良さを重視しており、多用なフィルターとエフェクトを使って高度に編集されています。ユーザーの多くは投稿する写真のクオリティとセンスを統一しており、プロフィール画面を見れば、好みのスタイルや人物像をすぐに感じ取れます。
一方、TikTokに投稿される動画はさほど飾っておらず、意図的に低品質のものや、未編集のものも多くあります。多くの場合ユーザーは計画的にではなく急に思い立って動画を撮影し、撮影直後に投稿します。そのため、プロフィール画面を見てもユーザーの感性はなかなか把握できません。
Instagramでは伝えたい主題と同等にビジュアルが重視されますが、TikTokで重視されるのは主題そのものです。クリエイターが投稿するダンスや口パク、チャレンジ動画で肝心なのは動画内で起こっていること自体であり、画質の良さや凝った編集、美的センスではありません。
したがって、デザインにこだわった広告を投稿する場合はInstagramのほうが適しており、TikTokはインフルエンサーとの連携や自社コンテンツの投稿などでの利用がおすすめです。
広告
Instagramでは画像と動画の両方を使ってブランドの宣伝ができ、フィードやストーリー、リールなどを通してターゲットオーディエンスに閲覧されます。
TikTok広告では最長60秒の動画を掲載できます。広告は他の動画と動画の間に表示され、TikTokによくあるオーガニックコンテンツと見た目はほぼ同じです。
おもしろいことに、Creatopyが実施したTikTok広告とInstagramのリール広告の調査では、リール広告のリーチとインプレッションがTikTok広告を大きく上回り、クリック単価(CPC)とインプレッション単価(CPM)もリール広告のほうが安価でした。
TikTok広告 | リール広告 | |
リーチ | 199,477 | 389,298 |
インプレッション | 228,537 | 604,350 |
CPC | 35.72ドル | 28.08ドル |
CPM | 4.38ドル | 1.67ドル |
オーガニックコンテンツ
広告ではなくオーガニックコンテンツを投稿する場合、TikTokのほうが若い世代にリーチしやすい傾向があります。
TikTokのアルゴリズムでは、大量のコンテンツを作成しているユーザーが評価されます。対してInstagramでは、コンテンツの量は少ないものの、非常に高品質なコンテンツを作成しているユーザーが高く評価されます。また、コンテンツのエンゲージメント率が高いほど、Instagramでの露出が多くなります。
量よりも質に注力してコンテンツを作成したい場合は、Instagramが適しています。BtoB企業やリソースに余裕がないケースでは、TikTokよりもInstagramの利用を検討してみましょう。
インフルエンサー
インフルエンサーとパートナーシップを結ぶ場合は、InstagramとTikTokそれぞれのインフルエンサーマーケティングの違いをよく知っておく必要があります。
InstagramのコンテンツはTikTokよりも洗練されている傾向があるため、高級感や洗練されたイメージを求めている場合はInstagramでの影響力があるインフルエンサーを選ぶとよいでしょう。
TikTokはユーザーにとってより「リアル」で飾らないコンテンツを目指している場合におすすめです。また、TikTok広告のひとつである「ハッシュタグチャレンジ」では、インフルエンサーによるチャレンジ動画を通してブランド認知度を向上させられます。クリエイティブでおもしろいブランド独自のチャレンジを生み出せれば、非常に多くのユーザーにコンテンツを届けられるでしょう。
まとめ
TikTokとInstagramの違いを6つ紹介しました。それぞれの特徴を理解して、自社にとって最適なSNSの使い方を探ってみてください。
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この記事は、Convince & Convertに掲載された「TikTok vs. Instagram: 6 Major Differences for Your Brand」を翻訳した内容です。
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