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マーケティングで無視できない?購買力が高まるZ世代
日本においてZ世代の人口構成比率は低く人数も決して多くありませんが、Z世代の最年長はすでに20代後半に達しており、これから購買力の成長が予想されます。今後の売上の伸びを左右する世代であるため、Z世代の消費行動の分析やマーケティングは企業が取り組むべき課題のひとつです。
今回は、Z世代の特徴とZ世代に効果的なデジタルマーケティング戦略のポイントを解説します。Z世代をターゲットにした商品の開発やプロモーションのご参考になさってください。
Z世代の特徴
一般的に、Z世代には以下の特徴があります。
- 1995年~2010年生まれ
- 大半がX世代(1960年代半ば~1970年代後半生まれ)に育てられた
- 全消費者の約40%を占める
- 8秒間の注意持続時間を持つ
- 95%がスマートフォンにアクセスできる
- 偽りがなく信頼できると感じるブランドを好む
- 不況の中で育った
- 節約への関心が高い
- 実用的で現実主義
リサーチ・アドバイザリー企業のGartnerが2019年に発表した記事によれば、Z世代には推定1,432億ドルの購買力があり、企業からみればアプローチしたい重要な見込み顧客といえる状況です。また、Z世代の消費行動を分析する際は、親からの金銭的な援助と意思決定への影響も考慮する必要があります。
Z世代にとってのデジタルな世界の重要性
Z世代はデジタルおよびモバイルネイティブの世代で、Z世代にとってオンラインとオフラインが混在する生活は当たり前です。インターネットは若者の社交性と社会的知性を破壊するという意見もありますが、このような考えは根拠のない誤解です。
Think with GoogleがアメリカのZ世代1,000人を対象に調査した結果では、約70%のZ世代が、YouTube動画を他の人と一緒に見ているときに「つながっている」と感じています。SNSやスマートフォン、その他デジタルメディアなどへの接続は、Z世代の多くにとって、別な次元での他者との交流とつながりを促進してきました。
シンクタンクのPew Research Centerによれば、10代の約45%がほぼ常にオンライン状態であると回答しています。
Z世代にとってSNSやデジタルな世界の大きな役割は、10代のストレスフルな生活からの逃避です。これは特別なことではなく、これまでの世代もその時代に利用できるものを通して遊びや暇つぶしをしてきました。
たとえば、PCやスマホが普及する前は、今よりもTVが視聴され、TVゲームよりも外遊びのほうがスタンダードでした。ポータブル端末の音楽を例にあげると、カセットテープのウォークマン、ポータブルCDプレーヤー、MDウォークマン、iPodと進化していき、今ではスマホで音楽を聴くのが当たり前になりつつあります。
雑誌も廃刊が相次ぎ、オンライン版が登場し、週刊発行の少年向け漫画雑誌も、デジタル版が主流になってきています。
そういったオフラインからオンラインへの移行が進んだ時代に生まれてきているZ世代にとってはインターネットが身近であり、デジタルな世界が自分たちの日常なのです。
投資家のNir Eyalが著者「Indistractable(集中が削がれない)」で述べているように、10~20代のヤングアダルトたちは、単に両親や家庭、責任から逃れるためではなく、その他の正当な理由でSNSやTVゲームなどのデジタルな世界に注意を向けています。デジタルな世界にはさまざまな形態と提供物があり、Z世代が自分の自律性・能力・関連性を見出して生きるための空間を提供しているのです。
Z世代にとってためになるコンテンツを作る
Z世代に響く言葉や文化を知らないなら、ネットで彼らの興味関心をリサーチしたり、マーケティング会社や市場調査会社に依頼しましょう。または社内の若手社員でもいいですし、SNSなどでZ世代と交流を持つ機会があれば直接会って話すこともオススメです。Z世代にとって現実的で実用的、そしてためになるコンテンツとなるように心がけましょう。
コンテンツのスピード・正確さ・訴求力を磨く
Z世代は注意持続時間が短いとされていますが、それは「Z世代は集中できない」という意味ではありません。Z世代は非常に実用的な考え方をするため、興味のないことや、自分にとって価値のないことに時間とエネルギーを費やしたがらないのです。
多量の情報が常にあふれている状態に慣れたZ世代は、「高度に進化した8秒間のフィルター(highly evolved eight-second filter)」と呼ばれるフィルターを使って、コンテンツを目にしてから8秒の間に情報の整理と評価をしています。
エレベーターピッチ(※)の作成はZ世代へのアプローチとして良いスタートですが、Z世代に向けたコンテンツは8秒間で勝負が決まることを常に意識しましょう。
※エレベーターピッチとは
エレベーターピッチとは、15~30秒程度のエレベーターに乗っている間と同じくらい短い時間で自分のアイデアや商品を売り込むプレゼンテーションのことをいいます。日本ではあまり聞きなじみがないかもしれませんが、アメリカではスタンダードなプレゼン方法のひとつです。
Z世代とSNSでつながる
Z世代に人気のSNSにはYouTubeやInstagram、TikTokなどがあり、Z世代はSNSに多くの時間を費やして有益なつながりを作ろうとしています。Z世代に向けてSNSマーケティングを展開するなら、Z世代がSNSで何を重視しているのかを理解し、発信するコンテンツやブランドメッセージを通して、彼らの考えを尊重していることを示しましょう。自分たちの考えが反映されていると感じることは、ブランドに価値を見出すための前提条件となります。
Eメールマーケティングを忘れない
EメールマーケティングのターゲットにはZ世代も含めましょう。大多数のZ世代は、1日複数回とまでは行かなくても、最低でも毎日Eメールをチェックしています。関連性があり、魅力的でパーソナライズされた内容のメール(広告やおすすめ、割引情報)を配信しましょう。
動画コンテンツを利用する
Z世代がリラックスしたいときや気分を改善したいとき、またはただ楽しみたいとき、YouTubeの動画は手っ取り早い解決策です。ただし、Z世代はエンターテインメントのためだけにYouTubeを利用しているのではありません。Pew Research Centerの調査では、85%の10代のZ世代がYouTubeを使用しており、80%が新しい知識やスキルを得るために視聴しています。
動画コンテンツは、エンターテインメント性と実用性のバランスを意識しましょう。
自社を通して価値観を社会に反映できることをアピールする
商品の購入やサービスの利用により社会貢献できることは、Z世代のユーザーにとって大いにやりがいを引き立てられることです。自社を通して社会問題や環境問題に貢献でき、「ヒーローになれる」という感覚をユーザーに与えられるようにしましょう。
優れた顧客体験ができるように商品をデザインする
Z世代はレビューを読んだりブランドの価値観や取り組みを調べたりして、商品を購入する前には入念にリサーチをします(彼らにとってはそれが当たり前という感覚です)。
商品自体と同じくらい重要なのは、ユーザーエクスペリエンス(顧客体験)をデザインすることです。SNSでブランドとつながることや、ブランドを通して社会貢献に参加することにおいては、商品の使用感と機能性よりもユーザーの感情と経験が重要です。
Z世代にかぎらず、ユーザーの理解は 作業です。ユーザーの言動を注意深く観察する必要があり、時間もかかります。しかし、今後数十年間で非常に大きな消費者グループとなるZ世代の理解を今から深めておくことで、なぜその行動をとるのかまで分析でき、最適なマーケティング戦略の立案ができるようになるのです。
まとめ
Z世代をターゲットにしたマーケティング戦略のポイントを紹介しました。Z世代の特徴を理解し、今後のビジネスに反映していきましょう。
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この記事は、Adobe Experienc Cloud Blogに掲載された「Marketing to Gen Z | Come for the Authenticity, Stay for the Experiences」を翻訳した内容です。
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