コラム ブランディング

企業MVVとは?ミッション・ビジョン・バリューの違いやメリットを解説

企業が長期にわたり大きく成長し続けるためには、「何のために、どうやって、何をするのか」という、企業ビジョンを明確にして事業を運営しなければいけません。

この企業経営の軸ともいえる内容について決定するフレームワークとして、近年では大企業のみならずに中小ベンチャー企業においても「MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)」を策定し、事業の推進に役立てている会社が増えてきています。

今回は、ブランディングの一環として企業向けにMVV策定を行うプラスシーブイ株式会社が、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)について解説します。

CI(コーポレイトアイデンティティ)を定義する言語の意味や重要性、メリット、浸透させるためのポイントを理解し、貴社の企業を成長させるイメージを描いてみてください。

MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)とは?

MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)とは、企業を持続的に成長させるために必要な、自社の役割や存在意義を策定するための概念・フレームワークです。企業によって、VMV(ビジョン・ミッション・バリュー)と並び順が変わることがありますが、意味に違いはありません。

この概念・フレームワークは、「使命(ミッション)」「理想(ビジョン)」「価値(バリュー)」の頭文字を取った言葉で、経営学の神様と称される経営コンサルタントのピーター・ドラッカー(Peter Ferdinand Drucker)氏によって提唱されました。ミッションはビジョンに支えられ、ビジョンはバリューに支えられる構造となっており、それぞれが密接に関係し合って企業の事業運営で欠かせない3つの要素といえます。

初めて聞いた方は各要素の違いがわかりにくいかと思いますが、それぞれに明確な違いがあります。まずは、MVVの定義についてみていきましょう。

M(ミッション):企業が担う使命

ミッションとは、企業として果たすべき使命のことです。「なぜ私たちの会社は存在しているのか」「社会でどんな役割を担い、どのようなことを実現していきたいのか」といった“現在の自社像”の輪郭を明確にします。

ミッションを理解できていれば、「会社を構成する一人ひとりの従業員が何を目標に行動すればいいか」を理解でき、よりコミットメントをしやすくなり、高いパフォーマンスを発揮しやすくなります。したがって企業や組織のリーダーは、最初にミッションの策定や確認を行っておくことが重要だと考えられています。

ここで、ビジネスチャットツールであるChatWork(チャットワーク)を一例に挙げてみましょう。

ChatWorkが掲げるミッションは、「働くをもっと楽しく、創造的に」です。こちらのミッションをふまえ、以下のビジョンとバリューについても掘り下げてみましょう。

※チャットワーク|MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)とは?作成手順や浸透させる方法、企業事例を解説

https://go.chatwork.com/ja/column/efficient/efficient-395.html

V(ビジョン):企業の将来像

ビジョンとは、企業が「ミッションを実現した未来でこうありたい」と考える、なりたい将来像のことで、ミッションに対してゴールとなる要素です。企業がやるべきことを定義するミッションに対し、ビジョンは「企業が目指す方向性の行く末」や「ミッションを達成した姿」、すなわち“未来の自社像”の解像度を高めていきます。

ビジョンでは、「ミッションを達成することで実現する未来はどういう姿か」といった将来の状態を言語化します。企業の核となる使命を定めたミッションとは異なり、ビジョンは時代と共に変化するニーズや環境の変化、達成度に合わせて柔軟に見直されるものです。企業によっては毎年ビジョンを変更したり、5カ年ビジョンとして定期的に作り直す会社もあります。

ChatWorkが掲げるビジョンは、「すべての人に、一歩先の働き方を」です。現在のミッションを実現した未来になっていて、2つの要素の因果関係を感じられます。

なお、日本を代表する電化製品メーカーであるSONY社はこのようなビジョンを掲げています。グローバル企業なので「世界中」という言葉を使い、認知度の高い企業でありながらチャレンジ精神を忘れない宣言をし、SONY社の商品によって消費者に感動と安心を継続的に提供し続けることを伝えています。

 

 

世界中の人と社会に、
テクノロジーの追求と新たなチャレンジによって、
「感動」と「安心」を提供し続ける。

引用元:https://www.sony.co.jp/recruit/vision/

 

「世界中」を使える中小企業はグローバルな商圏を持たないと使えませんが、とたとえば「日本中」や「●●県」「地域」などと置き換えて誰のためにどういったコミュニケーションをとり、何を成し得るのかを伝えることを意識した言葉を選ぶのがいいでしょう。

楯の川酒造株式会社様の100年ビジョン再策定に携わりました

V(バリュー):企業の価値観

バリューとは、企業がもつ価値観のことであり、会社が事業を通して提供する商品やサービスの提供価値や企業に所属する人間の行動指針などを指します。

ビジョンの設定やミッションを達成するための具体的な手段であり、競合他社との差別化ポイントとなりうる要素で会社のアドバンテージ(強み)になるものです。バリューをしっかりと策定し、世の中に発信できれば、企業が与えたい価値を顧客に提供しやすくなります。

企業の価値観は、会社によって異なります。利益優先の企業もあれば、顧客のメリットを第一に優先する企業もあります。また、さまざまな価値観を併せ持っていてもかまいません。バリューでは、この価値観にもとづいた行動の基軸を定めるのです。

ChatWorkが掲げるバリューは「一部の先進的な人だけではなく、世界中で働くあらゆる人が、自分自身の働き方を常に『一歩先』へと進めていけるプラットフォームを提供する」です。このとおり、バリューを実現するための具体的なアクションプランになっていることがつかめます。

バリューの方向性は顧客だけにとどまらない

一般的に、企業のバリューは対外的な顧客向けにつくられることが多いのですが、近年では社内の従業員や求職者向けにつくられるケースも見受けられるようになりました。たとえば、フリマアプリで有名なメルカリのバリューは短文で抽象度が高く、メルカリ社の一員として働く意義や価値を伝えるような内容になっています。

・Go Bold – 大胆にやろう
・All for One – 全ては成功のために
・Be Professional – プロフェッショナルであれ

引用元:https://mercan.mercari.com/articles/2016-05-13-112843/

短文にしている理由は、社内で共通言語として掲げるコトバというより、きちんと「使われるコトバ」になることを想定したからだそうです。標語が経営層と一般社員とで認識が違って受け止めてしまうと機能しません。キャッチ―で覚えやすいからこそ、いろんな場面で使えるというわけです。

社内にこれらのバリューが浸透しているからこそ、「メルカリのメンバーは誰と会っても言っていることにブレがない」とう対外的な評価をいただくことも多いのだとか。参考にある活用例として、メルカリのSlackにはバリューのリアクションスタンプも用意されているそうです。リモートワークでも、バリューを使い、メルカリ社らしいブランドを反映したコミュニケーションを維持する取り組みとして参考になりますね。

なぜ、今MVVが必要なのか?

MVVは経営の根幹となる要素ですが、改めて何のために策定するのでしょうか。

MVVを作る意義は、企業にとって「どのような将来を目指して、どのような提供価値によって、今何をなすべきか」を明確にするためです。

市場に多くのモノ・サービスがあふれる現代。よほど勢いのある企業でなければ、目標があやふやで足並みが揃っていない経営では、独自性を発揮して顧客に選ばれ続ける会社の地位は確立できないでしょう。

MVVの策定によって経営陣だけでなく従業員も含めて社員が一枚岩になって同じビジョンに向かって仕事に邁進できれば、変化が多く厳しい社会環境へ柔軟に適応しやすくなるのです。

MVV策定の理想的なタイミング

MVVを策定する理想的なタイミングは、以下のとおりです。

  • スタートアップ時
  • 第二創業期
  • 社長が代わり二代目になったとき
  • 会社をホールディングス化したとき
  • グループ傘下の子会社が増えたとき
  • 採用強化で人員が増えたとき など

共通しているのは、企業の経営方針や体制を見直すタイミングという点です。今までの振り返りとともに新しい方針の策定を行うことで、スタートダッシュやリスタートを決められるようになるでしょう。

MVVと混同しやすい「企業理念」や「クレド」との違いとは

MVVには、混同しやすい言葉がいくつか存在しています。そこで、企業理念やクレドなど、MVVと似た意味を持つ言葉について解説します。

企業理念や経営理念、行動指針との違い

MVVといっしょくたになりやすい代表的な言葉として、企業理念や経営理念、行動方針などが挙げられます。それぞれの意味は、以下のとおりです。

  • 企業理念:会社の存在意義や社会に提供したい価値を定めたもので、変化することは少ない
  • 経営理念:経営上の方針や手段のことで、時代背景や経営者によって変化する
  • 行動方針:上記2つを達成するために行う具体的な行動原則のこと

このように、それぞれの言葉はMVVと似ており、実際に近い使われ方をすることも多々あります。言葉の定義や捉え方は会社次第であり、企業によって定義が異なるため策定するうえでお手本にする場合もあくまで参考程度にする認識が良いでしょう。

クレドやプロミスとの違い

同じくMVVに近しい言葉として、クレドやプロミスというものもあります。

  • クレド:信条という意味を持ち、従業員の行動について具体的に定めたもの
  • プロミス:約束という意味を持ち、顧客に対して約束する価値や品質などを定めたもの

クレドはMVVのバリュー、プロミスはミッションと類似していることがわかるでしょう。明確な違いは定義されていませんが、クレドやプロミスのほうが具体性は高く、行動内容やブランドについてより踏み込んだ内容を策定することが多い傾向にあります。

二つの言葉の使い分けの基準としては、クレドは従業員向けのインナーブランディングが目的になるのに対し、プロミスは顧客向けのアウターブランディングが目的になることを押さえておくと混同しにくく、正しい使い方ができるでしょう。

「MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)」を策定するメリット

改めて、MVVを策定するとどんな効果が得られるのでしょうか? メリットは大きく以下の2つに分けられます。

  • 社外への発信などによるアウターブランディング効果
  • 社内や採用などにおけるインナーブランディング効果

MVVのメリットについて、もう少しくわしくみていきましょう。

強みの明確化による求心力の向上

魅力的なMVVを策定して利害関係者(ステークホルダー)に発信すれば、自社の強みや理想像を対外的にアピールできます。その内容に社会や消費者、未来の取引先や求職者などが賛同してくれれば、企業やブランドが高く評価され求心力が高まってきます。

評価が高まり、ミッションやバリューがターゲットに届けられるようになれば、自社の商品やサービスの認知拡大・エンゲージメント向上・ファン化、ひいては売上向上が目指せます。

社員コミットメントの向上による業務効率化

MVVを策定すれば、すべての従業員が同じ使命を持ち、同じ理想像に向かい、同じ価値観を携えて行動できるようになります。その結果、人財の質が高まり、企業のリソースを適切に配分でき、かつ従業員同士の意思疎通の手助けにもなってくれるのです。

全員が同じ目標にコミットすることで、より効率的な業務、ひいては経営にもつながるでしょう。

さらに、MVVは会社への帰属意識に対してもプラスの効果をもたらします。自社ならではの独自性が高いミッションはチームの団結力や結束を強化し、従業員の会社に対するエンゲージメントを高めることが可能です。とくに近年はリモートワークへの急速な切り替えを迫られた影響を受けた企業においては帰属意識が低下しやすいため、MVVが醸造する一体感は実効性が高いと言えます。

マッチング度が高いコンセプト共感型採用の実現

MVVが明示されている企業は、外部の人間から見ても魅力的に映ります。その内容に高い共感を得られれば、採用求人に応募する求職者を集められるうえ、自社とのマッチング度が高い人材の確保を目指せるようになります。

近年は、「年間休日120日以上」「リモートワーク可能」といった、労働条件を全面に打ち出す求人が増えています。しかしこういった求人では、企業のコアとなる部分に賛同してくれる人材の採用とは程遠いものです。MVVを明示し、そこにこの指止まれの感覚で共感・共鳴したマッチ度が高い人材に来てもらうことで企業も求職者もお互いにwin-winな関係のフェアでエンゲージメントの高い採用を実現できます。

「MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)」を社内に浸透させるポイント

MVVの重要性やメリットを理解して策定しても、それを経営陣だけが把握しているのでは意味がありません。MVVを単なる作った言葉として過去の遺物にするのではなく、しっかりと社内で言葉たちが機能するための取り組みが欠かせません。

ここからは、MVVを全社に浸透させるためのポイントについて解説します。

社員総会での全社員向けの発表

MVVの策定後はできるだけ早い段階で、全社員向けの発表を推奨します。社内報や朝礼などといったタイミングも有効ですが、全社員が集う総会で直接発表できると、想いや熱意が伝わりやすくなります。オンラインでのコミュニケーションが主流となってきた企業においても、改めてリアルの場で全員が集い、同じ空間と時間を共有するなかでMVVを語ることはとても重要だと考えます。

誰一人欠けず、全体に向けて発信することで「重要性」を演出でき、共通認識が持ちやすく行動にも反映されやすくなるでしょう。

 Webサイトやブランドサイトへの掲載・構築

MVVは社内だけではなく、社外にも発信して認知をとる必要があります。

社外への発信には、Webサイトへの掲載やブランドサイトの構築が有効です。Webサイトを訪れた見込み顧客がMVVに賛同してくれれば、ブランドのファンになったり、熱狂的なファンがいればUGCマーケティングにつながってブランドやMVVを広める宣伝塔になったりしてくれるかもしれません。

ただし、Webサイトやブランドサイトを作成しても、MVVが目立たない場所に掲載されていては意味がないでしょう。サイトトップに大きく記載するなど、顧客の目に入るように工夫することが重要です。

クレドカードへの記載

クレドカードとは、従業員の行動指針やバリューを記載したカードのことです。クレドカードを携行することで、常に確認しながら適切な行動を取れるようになります。クレドカードにMVVを印刷しておけば、従業員の意思決定や行動の基準となってくれるでしょう。クレドカードのお手本としては、ホテルのザ・リッツ・カールトンのゴールドスタンダードという経営理念を一枚の折り畳み式のカードにまとめたものが参考になります。

 

表彰や人事評価制度の指標にする

設定したMVVに対し、どれほど貢献できたのかを評価する制度をつくることもひとつの案です。

たとえば、表彰制度を取り入れると従業員の士気を高められます。「ビジョン賞」「ミッション賞」などを作り、毎年MVPや準MVPなどを決めて表彰すると、行動に移してもらいやすくなるかもしれません。

また、人事評価の項目にMVVに関連する指標を盛り込んでもいいでしょう。賞与や昇進に影響することが認知されれば、MVVの形骸化を防げます。

このとき大切なのは、評価の基準を明確にすることです。「どのような行動・成果が評価につながるのか」がわかっていると、納得度の高い評価制度にできます。

代表や経営陣からの継続的な啓蒙

代表や経営陣からの継続的な啓蒙も、MVVの浸透には効果的です。社員総会での一度きりの発表ではなく、社員が集うあらゆる機会で何度も代表者や経営陣からMVVの重要性を説かれると、より重要性や真剣度が伝わりやすくなるでしょう。

まとめ

MVVは「ミッション(使命)」「ビジョン(理想)」「バリュー(価値)」の頭文字を取った概念・フレームワークです。MVVを定義することで、企業の根幹となる目標や行動指針が明確化され、経営陣だけではなく従業員までもが同一の使命に向かって行動できるようになります。

対外的・対内的とインナーブランディングにもアウターブランディングにも効くMVVですが、単に策定するだけでは意味がありません。しっかりと浸透させるための取り組みを実施し、企業の販売戦略や経営戦略に役立てていきましょう。

プラスシーブイ株式会社では、MVV策定を支援しています。MVV策定を検討されている企業様であれば、同時にロゴデザインの刷新やコーポレイトサイトのリニューアルなどもお考えだと思います。ブランディングに関する領域は広くお手伝いができますので、お気軽にお問い合わせください。

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