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【2023年版】企業のSNSマーケティングでカギとなる13のトレンド

SNS運用で今、企業が押さえておくべきこととは?

TwitterやInstagram、TikTokなどのSNSは、若い世代において特に高い利用率を誇っています。総務省のデータによれば10~20代の90%以上がSNSを利用しており、SNSを一切使わない人のほうが珍しい状況です。

出典:年齢階層別SNSの利用状況

SNS利用率の高まりを受け、SNSの運用に取り組む企業が増えてきています。ニュートラルワークスが2022年に実施した企業のSNSマーケティングに関する意識調査では、SNSマーケティングに関する予算について、51.2%が直近1年で「増えた」または「どちらかといえば増えた」と回答しました。実際、ここ数年でSNSからの集客やコンバージョンの増加を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

出典:企業のSNSマーケティングに関する意識調査

今回は、SNSマーケティングの効果を高めるために考慮すべき2023年以降のSNSトレンド予測13選を紹介します。SNSの運用や、マーケティング戦略の立案のご参考になさってください。

1. リスクマネジメントでの活用

ユーザーへ迅速に情報を届けられるSNSは、販売促進だけでなくリスクマネジメントにおいても重宝すべきです。

Twitterが2022年に公開した「#RealTalk」というレポートでは、61%の人が「トラブルがあった際、メーカー・ブランドは広告やコミュニケーションツールを通してユーザーへ周知すべきだ」と考えています。また、Sprout Socialが2018年に実施した調査では、81%が「SNSは説明責任に役立っている」と回答し、89%が「企業が誤りを認め、問題解決に向けた行動を示すことは信頼の回復に貢献すると」答えています。

何か問題があったときに消費者へ真摯な姿勢を示し、信頼を再び得るには、SNSを通して速やかに説明責任を果たすことが大切です。

2. 企業の透明性との関係

企業が消費者とより強い関係を構築するには、SNSでの情報発信と合わせて、「透明性」を意識した事業展開が必要です。

Sprout Socialの調査では、86%の消費者が「企業の透明性は今まで以上に重要である」と回答しています。また同じ調査において、多数のミレニアル世代の消費者が企業のCEOがSNSで「個人的な存在感を示すこと」を望んでおり、「透明性のある企業のCEOはポジティブな影響力がある」と考えていることがわかりました。

SNSマーケティングを成功させるには、SNSそのものだけでなく自社の透明性の向上にも注力しましょう。

3. ソーシャルコマースの人気

SNS上でオンラインショッピングができる「ソーシャルコマース」は、2023年も人気拡大が続く見込みです。また、2026年までには世界のソーシャルコマース売上は約6兆ドルに達し、2025年には約1億8千万人のソーシャルバイヤーがいると予想されています。

HubSpotの「The State of Social Media Trends」という調査によると、SNSユーザーの36%が「Facebookから直接製品を購入したことがある」と回答し、24.5%が「製品の購入にInstagramを利用したことがある」と回答しています。Facebookにはすでに「Facebookショップ」を開設しており、ユーザーが自由にオンラインショップを作成できる仕組みができあがっています。

ただし、流行っているからといって準備を整えずに導入するのは賢明ではありません。ソーシャルコマースが積極的に取り入れるべきトレンドであることは確かですが、事業拡大への貢献度を確かめるため、導入前にターゲットや好ましいプラットフォームに関する調査をしっかり実施しましょう。

4. 短くてわかりやすい動画の作成

Wyzowlの「The State of Video Marketing 2023」という調査では、89%の人が「商品やサービスを検討する際に動画を見てから購入を決意した」と回答しています。動画の活用は販売促進に大きく貢献しますが、ユーザー向けの動画は尺(長さ)に注意しましょう。

TikTokやYouTubeショート動画の人気からわかるように、今日のユーザーは短い動画を好み、長い動画はなかなか最後まで集中して見ない傾向があります。Cross River Therapyの「Average Human Attention Span By Age: 47 Statistics」によれば、一般的な人間の集中力が続く時間は8.25秒とされているため、投稿する動画は短くて簡単に理解できる内容にすることが大切です。

ただし、短尺の動画に仕上げることを重視するあまり、クオリティが下がらないように留意してください。長い動画であっても、高質なコンテンツであれば視聴者の注意を惹き続けることができるからです。

5. サードパーティクッキーの衰退

ユーザーのプライバシーへの関心の高まりにともない、サードパーティクッキーは今後衰退していくと考えられています。サードパーティクッキーとは、ユーザーが訪れたサイトとは別のドメインが発行したクッキーのことです。複数のサイトを横断してユーザーの行動を追跡でき、アフィリエイトやWeb広告の効果測定に活用されています。しかし、プライバシーの問題からGoogle Chromeも段階的な廃止を発表しています

EU一般データ保護規則(GDPR)のような個人情報保護のための法律も世界的に増えていくと考えられるため、サードパーティクッキーの代替として、自社のサイトで収集したファーストパーティデータを最大限に活用するソリューションの開発が急がれます。

6. 分散型ソーシャルネットワークの成長

アカウントの制御や検閲の問題により、現在主流なSNSプラットフォームは近い将来分散型ソーシャルネットワークに代替される可能性があります。

すでに分散型ソーシャルネットワークは複数誕生しており、Minds(マインズ)はFacebookやInstagramの代替SNS、Mastodon(マストドン)はTwitterの代替SNSとして注目を集めています。LBRY(ライブラリー)やDiaspora(ディアスポラ)、Signal(シグナル)なども含め、今から分散型ソーシャルネットワークの使い方を理解しておいても損はないでしょう。

7. サステナビリティと環境保護への関心

SDGsに絡めてSNSで情報発信をする企業も見られますが、「言葉の発信」ばかりアピールしないよう気をつけましょう。

ユーザーは単なる言葉としての「サステナビリティ」や「エコフレンドリー」ではなく、問題の解決に向けた実際のアクションを求めています。Talkwalkerの「Social Media Trends 2023 Global Report」という調査では、82%の消費者が企業が利益よりも「人」と「地球」を優先することを望んでいます。2023年は、より多くの企業が環境保護のための具体的なアクションを発信するでしょう。

8. AIによる「おすすめ」の表示

FacebookやInstagramなどのSNSでは、ユーザーのエンゲージメントを高めるためにAIを活用しています。2023年は、AIによっておすすめされたコンテンツを見る機会がさらに増えるでしょう。

たとえば、Facebookではユーザーのフィードにおすすめコンテンツを表示する仕組みを導入しており、これによりTikTokのようにユーザーが好みに合わせたコンテンツを見つけやすいようになっています。

9. インテグレーションの増加

Social Media TodayのAndrew Hutchinsonは、2023年は主要なSNSにおけるインテグレーション(※)が進むと推測しています。たとえば、Facebookはエンゲージメントを促進するため、メタバースなどのデジタルアバターとのインテグレーションを推進しています。また、Instagramにおいても、コンテンツクリエイターの活動支援とメタバース上でのコンテンツ作成の促進のため、インテグレーションを広げていくと考えられています。

※インテグレーションとは

インテグレーション(integration)とは、「融合」や「統合」という意味の英単語で、異なるシステムやネットワークを組み合わせてサービスを構築することをいいます。

10. インタラクティブな広告の拡大

2023年は、AR(拡張現実)(※)やVR(仮想現実)などの技術を活用したインタラクティブな広告がSNS上で広がっていくでしょう。これらの技術はすでに動画のフィルターなどに用いられていますが、インタラクティブな広告に活かすことでショッピングの満足度向上にもつなげられます。

インタラクティブな広告はユーザーにスキップやブロックを促すのではなく、実際に体験してみるように誘導します。ユーザーに体験してもらうことで特定の商品やブランドへのエンゲージを高められ、認知度の向上を期待できます。

※AR(拡張現実)とは

AR(Augmented Reality、拡張現実)とは、目の前にある現実世界にデジタル情報を付け加えることで世界を拡張する技術のことです。たとえば、現実世界にポケモンがあらわれたように見えるゲームの「ポケモンGO」、ニトリが提供するインテリア試着アプリ「RoomCo AR 」などが挙げられます。完全にバーチャルの世界であるVR(Virtual Reality、仮想現実)とは異なり、現実世界を主体としています。

11. ナノインフルエンサーとマイクロインフルエンサーの需要増加

トップインフルエンサーには多くのフォロワーがいますが、彼らに商品の宣伝をしてもらうには多大なコストがかかり、中小企業が依頼をするのは非現実的です。さらに、フォロワー数が多い=エンゲージメントが高いとも限りません。

ユーザーがより正確で「リアル」な情報を発信する企業やインフルエンサーを好むこともあり、今後はナノインフルエンサー(フォロワー数1,000〜1万人)やマイクロインフルエンサー(フォロワー数1万〜10万人)の活躍の場が増えるでしょう。

海外のインフルエンサーマーケティングの統計によると、ナノインフルエンサーはフォロワー数の少なさに対してエンゲージメント率は3.69%と、マイクロインフルエンサー(フォロワー数10万~100万人)の約2倍あります。

2023年は、ナノインフルエンサーやマイクロインフルエンサーを起用する企業が昨年よりも多く見られるでしょう。

12. 人間味を出した施策

2022年はユーザー生成コンテンツが注目を浴び、Daniel WellingtonやDoveなどのブランドは、ユーザーに広告への参加を呼びかけたり自社の商品に関するコンテンツの作成を促進したりしました。ユーザーの声を強調した人間味のある施策は、2023年にさらに増えると推測されています。

企業がユーザー主体の発信を重視することにより、細かく編集された広告ではなく、かざらない形式の広告を見る機会も増加するでしょう。

13.ゲーム業界の持つ可能性

コンサルティングファームのPwCによれば、ゲーム業界は2026年に3,210億ドルに達すると予想され、コロナ禍による自宅時間の増加やARやVRゲームの普及により急速に成長しています。すぐにSNSに取って代わることはなくても、その規模の大きさを考えると、SNS同様ユーザーとのコミュニケーションやエンゲージメントを促進する場に適しているでしょう。

ゲームをSNSのようにビジネスに利用した例はまだ特に見られませんが、2023年はゲーム業界の可能性に着目した戦略を展開する企業があらわれるかもしれません。

まとめ

SNSマーケティングで重要となる2023年以降の13のトレンドを紹介しました。集客・売上につなげるため、トレンドを意識したSNSの活用を実施してみてください。

 

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この記事は、Influencer Marketing Hubに掲載された「13 Social Media Trends in 2023 You Can Follow to Take Your Social Media Strategy to New Heights」を翻訳した内容です。

 

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