スマートフォンの画面をスクロールするのではなく、タップして雑誌をめくるようにコンテンツを楽しむ「ストーリー機能」。Instagramでは2016年8月に、TikTokでは2022年3月に導入され、多くのSNSが取り入れています。
Forrester Consultingが2019年に実施した調査では、64%のユーザーがスクロール型の記事よりもストーリー機能を好むことが明らかになりました。また、74%のユーザーが、少なくとも週に1回はストーリー機能によりコンテンツを閲覧すると回答しています。
ストーリー機能の活用は、デジタルマーケティングにおいて重要性を増しています。
本コラムでは、日本ではこれから普及するといわれているGoogleが提供しているストーリー機能、「Googleウェブストーリー」を紹介します。作り方やメリット、SEO対策について解説するので、デジタルマーケティングのご参考になさってください。
コンテンツ
Googleウェブストーリーとは?
Googleウェブストーリー(以下、ウェブストーリー)とは、Instagramの「ストーリー」やFacebookの「ストーリーズ」のウェブページ版のようなものです。文章や動画、画像などで構成され、スワイプすれば次のストーリーを閲覧できます。ウェブストーリーにはURLやGoogle広告、CTAも設置可能です。
ウェブストーリーはAMP(アンプ・Accelerated Mobile Pages)というモバイルページを高速表示させる技術を使って展開されており、フルスクリーンで臨場感のあるコンテンツを楽しめます。ウェブストーリーは自分のウェブサイトやブログ上で公開でき、SNSを通す必要はありません。公開したウェブストーリーは、Googleの検索エンジン上や画像検索上、iOSおよびAndroidのGoogle Discoverにも表示されます。
ウェブストーリーは、ブランドのメッセージの共有や商品の宣伝など、マーケティングにも活用できます。また、ウェブストーリーを使用して自身のウェブサイトのアクセス数を増やすことも可能です。さらに、古い投稿へのアクセスの誘導や、新しい投稿の紹介も容易になります。
ウェブストーリーは作り手の好きなように作成できます。内容や閲覧できる期間のほか、どのようにマーケティングに活かすか、収益化するかどうかも、すべて作り手の自由です。したがって、ブランドや商品の方針に合わせて、投稿1つひとつを細かく調整することができます。
ウェブストーリーの作り方
ウェブストーリーは、以下の手順で作成します。
- ストーリーエディターを選ぶ
- ウェブストーリーを計画する
- 最適な素材を選ぶ
- ウェブストーリーを作る
- ウェブストーリーを公開する
1.ストーリーエディターを選ぶ
ウェブストーリーを作るには、まずは画像や動画を編集できるストーリーエディターを選ぶ必要があります。ストーリーエディターにはいくつか種類がありますが、どれもシンプルな機能でテンプレートも用意されているため、初心者でもすぐに使えます。
Googleはさまざまなツールと連携して、ウェブストーリーを簡単に作成できるようにしています。次の3つは、もっとも人気のあるウェブストーリーのエディターです。
人気のあるウェブストーリーのエディター
- Web Stories for WordPress Plugin
- MakeStories
- Newsroom AI
2.ウェブストーリーを計画する
ウェブストーリーを作るには、ターゲットユーザーの分析と伝えたいメッセージの選定が重要です。
最後まで見てもらえるウェブストーリーを作るには、ターゲットユーザーが何を見たいのか、何を聞きたいのかを精査したうえで、 どのように訴えればよいのかを考えましょう。また、ユーザーに伝えるメッセージは明確で簡潔、そしてコンパクトなものにする必要があります。
3.最適な素材を選ぶ
人間は視覚型学習者であり、画像や映像を通して情報を吸収することを好みます。そのため、適切な画像と動画を選ぶことはウェブストーリーを作るうえで最優先事項です。画像と動画の選択にはふんだんに時間を使い、慎重に検討しましょう。
フリー素材ではなく、オリジナルの素材を使うことでより良いコンテンツを作れます。インパクトを重視しつつ、ユーザーに誤解を与えるような素材を使わないように気をつけましょう。
4.ウェブストーリーを作る
初めてウェブストーリーを作る際には、ストーリーエディターにあるテンプレートの利用が便利です。使いたい画像や動画をドラッグ・ドロップするだけで編集できます。
ウェブストーリーに入力する文章は、簡潔さと明確さが大事です。また、動画を使う場合は、15秒以内におさめるようにしましょう。
ユーザーとコミュニケーションを取るため、画像や動画を表示させるだけではなく、投票や質問などユーザーが参加できるウェブストーリーを作成するのもおすすめです。
5.ウェブストーリーを公開する
すべてのページを作成したら、ウェブストーリーを最初から最後までよく見直し、誤字がないか、画像がぼやけていないかを確かめましょう。問題がなければ、ストーリーエディターの「公開」をクリックします。ウェブストーリーを公開すると、自社のサイトだけではなく、関連性の高いユーザーの検索エンジンやGoogle Discoverにも表示されるようになります。
Googleウェブストーリーのメリット
Googleウェブストーリーには、SNSのストーリー機能にはないメリットが複数あります。こちらでは、Googleウェブストーリーのメリットを詳しく紹介します。
所有権
ウェブストーリーは、FacebookやInstagramなどのプラットフォームのインターフェースに依存することなく作成可能です。したがって、コードを使用して自由に編集したり、複数のSNSに同時に投稿したりできます。また、作成したウェブストーリーは自社のサイト上にあるため、コンテンツの著作権も有しています。
収益化
ウェブストーリーでは、プログラマティック広告と同じように販売を促進できます。プログラマティック広告とは、自動で広告枠を入札し、自動で配信する広告形態です。ウェブストーリーの作り手は、関連性のある広告を表示しながら魅力的なコンテンツを作成できます。
無期限の公開期間
ウェブストーリーに公開期限はありません。投稿後24時間後に削除することも、長期間残しておくこともできます。さらに、SNSのストーリー機能とは違い、ウェブストーリーはタイムラインに埋もれることもありません。
Googleアナリティクスとの連携
ウェブストーリーはウェブページなので、各ウェブストーリーには独自のURLがあります。 Googleアナリティクスと連携させれば、他のSNSよりも広範囲のモニタリングとユーザーの分析が可能になり、デジタルマーケティング戦略の立案に利用できます。
あらゆるデバイスで使用可能
ウェブストーリーはあらゆる種類のデバイスに対応しています。そのため、PC用やスマートフォン用などに分けてコンテンツを作成する必要がなく、時間とコストの削減ができます。
GoogleウェブストーリーのSEO対策
Googleが正しくインデックスに登録できるよう、ウェブストーリーにもSEO対策が必要ですが、気をつけるべきことは他のウェブコンテンツと大きく変わりません。以下の点に注意し、ウェブストーリーの最適化を目指しましょう。
GoogleウェブストーリーのSEO対策におけるポイント
- ユーザーに有益なコンテンツの作成
- 正しいメタデータの設定
- 関連記事やLPへのリンクの挿入
- 画像への「alt」テキストの追加
- わかりやすいディレクトリ構造とURL名の設定
Googleウェブストーリーの作成に役立つインサイト
こちらでは、Googleウェブストーリーを作成するうえでコンテンツのヒントになるインサイトを紹介します。
エンゲージメント
ウェブストーリーでエンゲージメントを得やすいコンテンツはライフスタイル関係です。とくに、魅力的な画像や動画と具体的なハウツーが含まれているウェブストーリーは、ユーザーの高いエンゲージメントを期待できます。
インプレッション(表示回数)
インプレッションは、芸術やエンターテインメント、飲食物を扱う内容で高くなる傾向があります。インプレッションの高さ=エンゲージメントの高さではありませんが、ユーザーの関心が高い内容を判断するヒントになります。
需要の高いコンテンツ
Google dataによれば、芸能やスポーツ、ゲームに関するウェブストーリーは高い需要があります。
Google Discover
Google Discoverでは、ユーザーは平均1.7ストーリーを閲覧しています。
理想的なページ数
ユーザーは平均11~15ページのウェブストーリーを読んでいます。 したがって、ウェブストーリーの最初の15 ページでコンテンツのもっとも重要なポイントを伝えると良いでしょう。
Googleウェブストーリーの例
最後に、ウェブストーリーの例を3つ紹介します。それぞれの画像の使い方や動画の編集の仕方を参考にしてみてください。
①カレーの作り方の紹介
https://www.vice.com/stories/japanese-curry-recipe/
②夜中の不安への対処の仕方の紹介
https://www.vice.com/stories/how-to-deal-with-nighttime-anxiety/
③本の特集
まとめ
ウェブストーリーは、ストーリー機能の人気が高まっている昨今、デジタルマーケティングに重要な機能です。今回紹介した作り方や例を参考に、自社のサイト上でウェブストーリーを公開してみてください。
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この記事は、Influencer Marketing Hubに掲載された「Google Web Stories SEO & Best Practices」を翻訳した内容です。
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